隣の先輩

「いいよ。先輩は写真が嫌いなんだって」


 その私の言葉に被せるように、先輩の言葉が響いていた。


「悪いな」


 そう囁くように言うと、先輩は私の肩をつかみ、私の体を抱き寄せていた。


 私が何が起こったか理解できないでいると、シャッター音が響く。


 そのシャッター音とともに先輩の手が離れた。


 愛理は満足そうに微笑んでいた。


「プリントしたらあげるね」


 愛理はそう言うとまた教室を出て行く。


 先輩はあれだけ写真が嫌いだったはずなのに、ただの気まぐれだったのかな。


「俺達も帰るか」


 先輩はそう言うと、鞄を手にした。先輩はいつも通りのなんてことない顔をしている。



 でも、私の心臓はすごくドキドキしてしまっていた。


 高鳴る心臓の音を抑えながら、歩いていく先輩を呼び止める。


「あの」


 先輩はゆっくりと振り返った。


「卒業おめでとうございます」


 その言葉に先輩は目を細める。


「ありがとう」


 私たちは教室を出た。もう、ほとんど人気がなくなっていて、私たち二人だけが取り残されたように静かだった。