隣の先輩

 宮脇先輩の少し冷えた手が私の頬に触れる。


「真由ちゃん、あなたってまさか」


 私は宮脇先輩の言いたいことが分からなくて、首をかしげていた。


「ありがとう」


 そう言った宮脇先輩が私を抱きしめていた。女の人からこうやって抱きしめられたのは初めてだったけど、嫌じゃなかった。


 さっきの冷たい手の感触が嘘じゃないかと思うくらい温かかった。



「宮脇?」


 静まり返る町並みに、いつでも私の気持ちを乱してしまう声が響いていた。


 私を抱きしめていた宮脇先輩の手が離れる。


 彼女は立ち上がると振り向いていた。


 私はその細い体越しに先輩の姿を見つけていた。


 彼は私と目が合うと、目を見開いていた。その唇から白い息がこぼれていた。


「安岡?」

「先輩」

「何、やってんだよ。こんな雪の中」


 先輩がそう言うと、駆け寄ってきた。先輩の目が痛いくらい真剣だった。


 怒っているんじゃないかと思うくらい。


「あ、あの、探し物」


 そのとき、私の視界が遮られていた。