まるで待ち伏せをしていたみたい。 そう思ってしまった理由は、家の玄関で耳を澄ませば隣の家の扉を開閉する音が聞こえるからだ。 服装や髪は彼に会うと思っていなかったので、昨日ほど念入りにチェックはしていない。 軽くチェックをしただけだけど、大丈夫なのかなとか、そんなことで頭がいっぱいになる。 「おはよ……」 その言葉とともに扉が背中やお尻に当たり、思わず前方にのけぞっていた。 「痛っ」 そんな声が自然に出てきた。 振り向くと、扉が少し開いていて、裕樹の姿が覗いていた。