隣の先輩

 何かに悩んだときに見知らぬところでふらっとしたいと思うように、ピアスが迷子になっているだけかもしれないから。


 私は視界がぼやけたのに気づき、目元を拭う。


 降りしきる雪は時折、私の体温を奪い去り、姿を変えていく。



 手の指先の熱も次第に奪われていく。同時に、指の感覚が次第に薄れていく。


 それでも、宮脇先輩の持っていたピアスを探していた。


 私が探し損ねた部分にそれがないことをただ願っていた。


 そのとき、柔らかい雪の中に入れた手が何か硬いものに触れる。


 それを手につかむと、思わず声を漏らしていた。


「あった」


 宮脇先輩が西原先輩からもらったもの。


 私は唇を軽く噛む。


 彼女相手なら、そんな気持ちも楽になるって思えたからだ。


 私も宮脇先輩のことが大好きだから。


 そのとき、過ぎったのが咲の言っていた言葉だった。


 咲も今の私のような気持ちでいてくれたのかもしれないって思った。


 前にもそう思ったことがある。


 でも、今は前よりも強くそう思えていた。


「真由ちゃん?」


 静寂に包まれた雪の舞う町並みに、凛とした声が響く。