隣の先輩

 二人がつきあっていたという話しなのだろう。


 宮脇先輩はどんなつもりでそう言ったんだろう。


 本心はそうでないのに。


「本当、お前たちは希望学科まで一緒って、どこまで似ているんだって感じだな。昔から本当に仲良しだったもんな。お前たちがつきあってくれていたら、出しても安心なんだけど」


 その言葉は胸の奥に錘が乗っかったようにずしんとくる。


 でも、唇を噛み、その言葉を振り払っていた。


「宮脇、……佳織は幼馴染としてはすごく好きだけど、恋人というのはやっぱり違う気がして」


 私はそう言った先輩から目が離せなかった。


「それは仕方ないよ。お前が名前で呼ばなくなったのってあの頃からだよな」


 と悠真さんの声。


 友達としては好きという言葉で十二月に言われた言葉を思い出していた。同時に蘇る、心を締め付ける痛み。


 先輩は宮脇先輩のことが好きじゃない……。


 じゃあ、先輩は誰のことが好きなんだろう。


 私の知らない人?


 考えたくないことを考えてしまっていて、頭の中が混乱しているのが分かった。


 とりあえずこの場を離れて、心を落ち着かせよう思った。


 でも、振り返ったとき、そんな私の動きがとまる。


 私のすぐ後ろには青ざめた顔をしている宮脇先輩がいた。