隣の先輩

 ミルフィーユ、チョコレートケーキ、イチゴショート、チョコレートケーキ、ガトーショコラ、ロールケーキ。


 ケーキの種類を何度か心の中で繰り返して、今日がバレンタインだからということでチョコレートケーキに決めた。


 私がそれを告げると、宮脇先輩はにこにこしながら、注文してくれた。


 ケーキが用意されると、宮脇先輩はそれを私に渡す。


「会計を済ませてくるから、席で待っていて」


 私は宮脇先輩の言葉に甘えて、先に席に戻っておくことにした。


 まだ先輩と悠真さんは熱心に話していた。


 でも、さっきとは先輩の様子が違うことに気づく。


 さっきは真剣な表情をしていたが、今は少し困ったような笑みを浮かべていた。


「お前はまだ彼女とかいないんだ」


 と悠真さんの声。


 会話の内容が一変していた。


「佳織もわざわざお前と同じ大学を選ばなくてもとは思うよ」


「やりたいことがあるみたいだからそれはそれなんじゃないんですか? 俺は全然気にしていないし」



 私はその会話の内容が気になり、近寄れずにいた。


 先輩は息をつくと、言葉を続ける。


「昔のことだし、宮脇も気にしないでって言っていたから」