隣の先輩

「一人暮らしをさせるのが心配なんだって。防犯とかね。昔からやけに過保護なの」


「先輩のおじいちゃんの家からは大学は遠いんですか?」

「車で十五分くらいだから、そんなに遠くはないと思う」


 でも、宮脇先輩が大学の近くに住むならあまり近くはないし、何かあっても先輩がすぐに駆けつけられるわけじゃない。心配になる気持ちは分かった。


 女の人で一人暮らしをしている人なんて結構いるから大丈夫だとは分かっていても無理もない。


 その辺りも考えると、先輩のおじいさんの家の近くに住めばいいのかもしれないが、そうなると学校から遠い。でも、第一私があれこれ考えるのはお節介でしかない、か。


 宮脇先輩と先輩がそのことがきっかけでつきあうようになったらと考えると、まだ少し心は痛むけど、宮脇先輩が危険な目には遭ってほしくない。宮脇先輩のことはすごく好きだと思うから。


「デザートでも食べる? 何を食べてもお兄ちゃんのおごりだから好きなだけ食べてね」


 おごるという言葉にちょっと反応してしまった。


 宮脇先輩はそんな私の気持ちに気づいたのか、笑顔を浮べている。


「一緒に見に行こうか。貴重品だけは一応持っていったほうがいいかも」


 私はバッグを持つと、お店のレジのところまで一緒に行くことにした。


 そこで、私の視線はケーキに釘付けになる。


 ケーキと一言に言っても多くの種類があるので、幾つかの種類のケーキを見ながら右往左往していた。


「何個か買ってもいいよ。持ち帰りでもいいし」


 心が弾むが、そんなことはダメだと言い聞かせる。さすがにそれはずうずうしい。