写真から逃げようとした先輩を逃がさないためか、その手をしっかりと握っている。


 先輩は写真から逃げる最終手段だったのか、顔を伏せてしまっていた。


 だから先輩の顔は見えない。嬉しそうな顔をしているのか、それとも別の表情を浮べているのかも分からなかった。


 その場所にも見覚えがあった。学校帰りに少し寄り道をすると通る公園。


 こういうところにも二人が一緒に過ごした時間が記憶されているんだと気づく。


 和葉さんは写真を見て、優しく微笑む。


「あ、佳織ちゃんね」

「佳織?」

「宮脇佳織ちゃん。稜と小学生の頃から同じ学校だったのよ」


 私はその言葉に納得する。


「同じ学校だけど、面識はないわよね」

「何度か話をしたことはありますよ」


 和葉さんは笑顔で「そう」と返事をしていた。


 やっぱりこの二人はどう見てもお似合いだと思うから。


 一緒に写っている二人を見て、思ったよりも心が痛まなかったことに少しだけほっとしていた。


 私は家に帰ってお守りを渡すのを忘れていたことに気づく。


 始業式の日に渡そうと決めた。