私は先輩の家の前に来ると深呼吸をした。吐く息が白い。その息はすぐに目に見えなくなる。
初詣から二日経った。もうすぐ新学期が始まるけど、まだ先輩にお守りを渡せないでいた。
コートから手を出すと、手がかじかむ。でも、それを振り払い、濃い茶色のインターフォンを押す。
チャイムの響き渡る音を聞きながら、どう言おうかと頭の中でシュミレーションをしていた。
でも、いつもすぐ呼び出しに応じる和葉さんか先輩の声が聞こえてこない。
「真由ちゃん?」
振り返ると、和葉さんが立っていた。
彼女は暖かそうな厚手のコートを着ていた。
「稜に用事?」
私はそう言われたことに胸をどきどきさせながらもうなずいていた。
「今、出かけているから家の中で待つ? おいしいお菓子があるのよ」
そう言うと、和葉さんは私の隣を抜けると、家の鍵を開ける。
少し迷ったけど、コートの中に入れているお守りのことが引っ掛かる。
早めに渡したくて、私は和葉さんの言葉に甘えることにした。
和葉さんは紅茶を出してくれた。いつか先輩が出してくれた甘い香りの紅茶。
その柔らかく、ほんのりとした香りに少しだけ緊張がほどけていく気がした。
初詣から二日経った。もうすぐ新学期が始まるけど、まだ先輩にお守りを渡せないでいた。
コートから手を出すと、手がかじかむ。でも、それを振り払い、濃い茶色のインターフォンを押す。
チャイムの響き渡る音を聞きながら、どう言おうかと頭の中でシュミレーションをしていた。
でも、いつもすぐ呼び出しに応じる和葉さんか先輩の声が聞こえてこない。
「真由ちゃん?」
振り返ると、和葉さんが立っていた。
彼女は暖かそうな厚手のコートを着ていた。
「稜に用事?」
私はそう言われたことに胸をどきどきさせながらもうなずいていた。
「今、出かけているから家の中で待つ? おいしいお菓子があるのよ」
そう言うと、和葉さんは私の隣を抜けると、家の鍵を開ける。
少し迷ったけど、コートの中に入れているお守りのことが引っ掛かる。
早めに渡したくて、私は和葉さんの言葉に甘えることにした。
和葉さんは紅茶を出してくれた。いつか先輩が出してくれた甘い香りの紅茶。
その柔らかく、ほんのりとした香りに少しだけ緊張がほどけていく気がした。