隣の先輩

 私は慌ててそう口にした。


 宮脇先輩に誤解させたら申し訳ないからだ。


 でも、彼女はそんなに驚いた表情を浮べることなく、辺りを見渡していた。


「依田君も来ているんだ」


 先輩はいつもと同じように宮脇先輩をみていた。


 先輩は宮脇先輩と回りたいのかな。


 先輩の気持ちは相変わらず分からないけれど、少なくとも宮脇先輩はそう思っているんじゃないかって思っていた。


「宮脇先輩はお友達と一緒ですか?」


 宮脇先輩は言葉につまったような表情を浮かべる。


 もしかして一人で来たとかなのかな?


 私がそう思ったときだった。


「多分、お兄ちゃんとだよな」


 そう言ったのは西原先輩。


 その言葉に宮脇先輩の顔が赤くなる。


「宮脇先輩の?」


「一緒に来ていたんだけど、先に帰るって帰っちゃった。だから一人でぶらっとしていたところなの」


 そう言うと苦笑いを浮かべていた。

 この歳になっても一緒に行くって、すごく仲いいんだな。