隣の先輩

「確かにね」


 西原先輩は思い当たる節があるのか、そう言うと、肩をすくめていた。


「真由をお願いします」


 先輩を見ていた愛理の視線が私を見る。

「じゃあね」


 愛理は咲に声をかけると、さっき依田先輩が消えた人ごみの中に消えていってしまった。


 残ったのは私と西原先輩の二人。


 しかし、いくら西原先輩が鈍いとはいえ、あからさま過ぎるんじゃないかなと思う。


 先輩は困ったように肩をすくめていた。


「初詣でもする?」

「そうですね」


 私は先輩と神社の境内に入ることにした。


 初詣を済ませ、私たちがおみくじを引くために参道から外れたとき、脇から穏やかな声が聞こえる。


「真由ちゃんと稜?」


 振り返ると、そこには宮脇先輩の姿があった。


 彼女は黒のトレンチコートに黒のブーツを履いていた。


 もともと細い彼女だけど、黒色のせいなのか、そのコートの型のせいなのか、いつもよりももっと細身に見えた。


「一緒に初詣に来ていたの?」

「愛理と依田先輩と私の友達も一緒ですよ」