夜になると、辺りの空気が冷え込んでくる。


 その日は眠る気がせずに、いつもより遅い時間まで起きていた。


 もうすぐ夜が明け、新年になる。


 私の誕生日が終わると、受験があり、別れの季節になる。


 もう先輩に好きになってもらえないことで傷ついたりしない。


 来年は……。


 そのとき、窓の外から何か響くような音が聞こえた気がした。


 私はその音につられるようにして、窓の外を覗く。


 暖まった部屋を冷やすように、冷たい風がなだれ込んでくる。


「寒い」


 思わず声を出して、窓を閉める。


 辺りはしんと静まり返っていて、閑静なという言葉が似合いそうな世界と化していた。


 そのとき、また鐘の音が響く。


「やっぱり」


 どこかで鐘が鳴っているんだ。もしかして除夜の鐘なんだろうか。


「もしかして、そこにいる?」


 先輩の声が聞こえてきた。


「いますよ」


 私が手すりのところに行くと、確かにそこには先輩の姿があった。


「もしかして驚いた?」


 私は何度もうなずいた。