隣の先輩

「先輩に何をあげたの?」

「稜が一番喜びそうなもの」


 裕樹の口から利かれた台詞は正直、聞き捨てならない。


「何?」

「秘密」


 裕樹は先輩と親しいから何かを聞いたんだろう。


 私もくだらない意地を張らずに、先輩ともっと話をしておけばよかった。


 先輩と話をしようとしなかったわずかな期間はすごく時間を無駄にすごしたような気がしていた。