隣の先輩

「こっちに来たばかりで全然知り合いがいなくてさ」


「そうなんだね。私と同じだ。親の都合で少し前にここに引っ越してきたの」


 周りの子はほとんど知り合いがいるみたいだった。


 自分と同じ立場の人がいると思うと、なんとなくうれしい気がした。


「じゃあな」


 私は彼を笑顔で見送る。すぐに教室を出て行っていた。


 愛理が私たちのところにやってきた。


「一緒に帰ろう」


「いいよ」


 すぐに返事をしたのは咲。


「私は西原先輩と帰るから」


「もしかして、先輩の彼女?」


 兄妹揃って同じことを聞いてくるとは、血のつながりなのかなと内心考えていたりもした。


 そんなことを愛理には言えないけど。