先輩に私を見てほしかった。


 好きになってほしかった。


 先輩は自分が原因だって分かっていないのに、私が暗い気持ちになったときはいつもそうやって元気づけようとしてくれる。


 やっぱりそういう先輩の優しさが、先輩が好きでたまらなかった。



 先輩の気持ちが私に向かなくても、やっぱり先輩といる時間は私にとって一番幸せな時間だった。


 私は並んでいる雪だるまをチラッと見る。


 雪が降ってくれている間は、この雪だるまが解けないってことだから。


 並んでいられるから。

 この気持ちが届かなくてもいい。


 ただ、先輩と一緒に過ごせる間だけは


こうして話をしたり、笑ったり、一週間後には忘れてしまいそうなくだらないことをしていけたらいいなと思っていた。


 それだけで幸せだから。