隣の先輩


 先輩の家の中は閑散として誰もいなかった。


 和葉さんは出かけているんだろう。


 先輩の家に入るのは随分久しぶりで、夏に一緒に遊びに行って以来かもしれない。


「こっち」


 先輩の指した先にはベランダがある。


 私はそのベランダの手すりにこじんまりとした可愛いものを見つける。


 先輩が不器用だと言っていたのを知らしめるみたいにちょっといびつで、大きな球を重ねただけの雪だるまだった。


「雪だるまだ。もしかして、先輩が作ったんですか?」


「ちょっと気晴らしにね」


 私は先輩がそんなものを作っているとことを想像してちょっと笑ってしまった。


 すごく微笑ましかったのと、後一つ。


「そんなに笑うかな」


 先輩は私が笑っていたからか、複雑そうな表情を浮かべていた。


 私たちはベランダに出る。


 まだ、そこには白い粉雪が降り続いていた。


 先輩の作った雪だるまにちょこんとその粉雪がくっつく。