隣の先輩

 ケーキ屋ではなく、長居しやすい本屋を待ち合わせ場所に決める。


 本屋は丁度ケーキ屋の隣にあった。私はケーキ屋を出ると、隣の本屋に行くことにした。


 暖かいお店の空気と対照的に、冷たい空気が体を叩く。


 その空気は体温まで奪い去ろうとする。


 肩を抱くと、お店の中に入った。


 でも、裕樹がいざ来たときあまり奥にいると、私を探すのが大変かもしれない。


 だから、十分ほど時間を潰した後、お店の入り口付近で待っておくことにした。


 道行く自分と同じくらいの背丈をした少年の姿を探す。


 だが、すぐに家を出てこれなかったのか、すぐに彼の姿を見つけることはできなかった。


 私の勝手で呼び出してしまったこともあり、遅くても文句を言うつもりはなかった。


 でも、もしかすると別のお店と勘違いをしてしまったんじゃないかという不安が脳裏を過ぎる。私は店の外に出る。