隣の先輩

 私の後ろには安原さんというショートカットの子がいる。だから、愛理の席は私の二つ後ろだった。


 愛理 は同じ中学なのか、隣の席の男の人と親しそうに話していた。髪の毛を短くした人。



 これから一年はこのクラスで過ごすのかと思うと、思いのほか楽しそうな気がしていた。


 愛理はさっぱりした感じの子で、何でも言いたいことをいっているような感じの子だった。


 あまり壁を作ったりしないタイプなのかもしれない。


 ホームルームのとき、隣を見ると、隣の席の彼が少し動きがおかしいのに気づいた。


 彼の机にはペンケースがない。


 もしかして筆記具を忘れたのかな。


 私はそう思うと、小声で話しかけた。


「よかったら使って」


 そういって、まだ買ったばかりでほとんど使っていないシャーペンを差し出した。