隣の先輩

 響いていたのは私が今だけは聞きたくなかった声かもしれない。


「いますよ」


 いつもと変わらない大好きな声。

「何かあった?」


 私の声色から何かを感じたのだろう。


 そんな言葉を投げかけてくる。


 私は何も返せずにいた。


「あんまりそこにいて、風邪引くなよ」


 先輩は私が返事をしなかったことには触れないで、そんな優しいことばを向けてくる。


 その言葉が優しくて、でも夕焼けの空のように淡くて、優しい気持ちになれるけど、どこか物寂しい感じがしていた。



 そのたびに、宮脇先輩の姿を思い出して、なぜだか目頭が熱くなってくる。


 先輩は多分、こういうことをして、女の子を誤解させていくんだ。