隣の先輩




 私は先輩のことが好きだから、普通に考えれば宮脇先輩が先輩のことを忘れていてくれたほうがいいんだって思う。


 ライバルが消えたほうが、私を見てくれる可能性がわずかばかりでも増えるから。


 でも、寂しく笑う宮脇先輩の姿を見てしまったからか、彼女がピアスを大事にしている理由を知ってしまったからか、彼女の言葉がすごく切なくて、胸が苦しかった。




 橙色の淡い光が青い空を覆い尽くすように強くなっていく。


 私はその光をただ眺めていた。


 何でなんだろう。どうして忘れなきゃいけないんだろう。


 本当に忘れないといけないのは私なのにとつぶやく。


 そのとき、ドアの開く音が、その空に溶けていくように響いていた。


 先輩の部屋だった。


「そこにいる?」


 その言葉に体を震わせる。