隣の先輩

 それが苦しくて、切なくて、だから余計に意味が分からなかった。


「これのこと?」


 宮脇先輩は制服の胸ポケットからピアスを取り出していた。


 私は彼女の言葉にうなずいていた。


 やっぱりそうやって持ち歩いているほど、大事なものなのに。


 宮脇先輩は私を見て、目を細めていた。


「これは諦めるために持っているのよ」


 私の想像に反して、明るい声が響く。


「ピアスって小さいから、これを失くしたときは稜のことを忘れようって決めたの。ちょっとした運試し」

 運試し?


 宮脇先輩の言っていることが理解できなかった。


 それでも、なんとか頭の中を整理して、宮脇先輩に気持ちを伝える。


「運試しをするって、どうして忘れないといけないんですか?」

「だって、無理なのが分かるから」