隣の先輩

 先輩はそんなに私の絵が見たかったのか、また聞いてきていた。

 なんでそんなに私の描いた絵を見たいんだろう。


「いいですけど、裕樹のほうが上手ですよ」

 先輩は持っていたスケッチブックを開く。


無言で、ページを捲られ、視線が動くのを確認する。


 なんだか恥ずかしいし、目のやり場に困る。


私は目を背けていた。


「上手いな」


 その言葉に先輩を見る。


「本当に?」


 先輩は私の頭を軽く撫でる。


「本当に。俺の絵とは天と地との差」


 先輩に始めて褒められたからか、心の奥がじんわりとあたたかくなってきた。


 すごく幸せな気分。


 嬉しいと思ったけど、それをどう口に出していいか分からなかった。