隣の先輩

 私は大人しく部屋に戻ることにした。


「誕生日、か」


 もしかして、先輩が二学期に入って女の子にやけに告白されていたのってそれもあるんじゃないのかなと少し思う。


 誕生日を少しでも祝えたらって思うから。


 いつなんだろう、依田先輩とかに聞いても大丈夫かな。


 でも、人のことを探るのはどうかなと思わなくもないし。


 本人と話ができないわけじゃないなら、本人に聞くのが一番なことは分かっていた。


 宮脇先輩は元カノだから、もちろん知っているんだろうな。


 私はため息を吐くと、机に座る。


 そのとき、机の上にいつも置いているスタンド式の鏡が目に飛び込んできた。


 私は鏡に向かって笑ってみた。


 その何の特徴のない笑顔は、宮脇先輩の優しい感じのする笑顔とは程遠い感じがした。


 私もあんな風になりたいな。


 先輩が宮脇先輩を好きでも分かるけど、それなら二人はどうして別れてしまったんだろう。


 宮脇先輩が「好きだった」と過去形にしていたからなんだろうか。


 でも、好きだったと過去形なら、もらったものを持ち歩くことなんてないと思う。


 いい思い出なら、部屋にでも置いておけばいいと思ったからだ。


 そんな結論が出ないことを延々と考えていた。