隣の先輩

 私は声をかけたが、咲の視線は西原さんと、その友達に向いていた。


「ごめんね。邪魔しちゃったかな」


「邪魔なんて」


「この子は真由ちゃんの友達?」



 言葉を発したのは咲、私、西原さんの友達の順だった。


「友達です」


「そっか。俺の名前はまだ言ってなかったよね。俺は依田賢って言うんだ。よろしくね」


 そう言うと、彼は笑顔を浮べている。


 咲はどう反応していいのか分からなかったのだろう。戸惑った表情で依田先輩を見ていた。


「もしかして体調でも悪い?」


 咲が無反応だったことに戸惑ったのか、依田先輩はそう彼女に問いかけていた。



 彼が何かを言おうとしたとき、凛とした声が響いていた。