隣の先輩

「羨ましいんだ」


 裕樹はからかうような表情を浮かべている。


 羨ましくないと強がれないほど羨ましい。


「真由の誕生日を教えてあげようか? 食い意地の張ったお姉ちゃんがケーキを食べたいと言っていたって」

「変なことしないでよ」


 そんなことを言ってしまうと、また先輩にからかわれてしまう。


 ただでさえ、私は先輩に食べることが大好きだって思われているからだ。


 嫌ではないけど、恥ずかしい。


 私たちはそんな言葉を交わしながら、リビングに入る。


 そこには母親の姿はなかった。


 どこかの部屋にいるんだろうと思って、そんなに気にすることはない。


「稜の誕生日ももうすぐなんだって」


 その言葉に私はぴくっと反応した。


 先輩の誕生日。今までそんな話になったことはなかったから、もちろん知らない。


 知りたい。



 裕樹に聞いたらからかわれるかもしれないと思ったが、そんな気持ちは好奇心には勝てなかった。