隣の先輩

「いいですよ」


 彼女はほっとしたような笑顔を浮かべている。


 律儀な人だなって思う。


 みんなそんな断りもなく、普通に名前で呼ぶし、私はそういったことに抵抗があるわけでもないから。


 突然名前で呼ばれても、失礼な人だなんて思うこともない。


「ありがとう」


 本当はお礼を言わないといけないのは私なのに、宮脇先輩はお礼を言うと、帰って行った。


 私は小さくなっていく先輩の姿を見送っていた。



 私も宮脇先輩みたいに素敵な人になりたい。


 今日、宮脇先輩と一緒にいて分かったことがある。


 告白とか意気込んでいたのが嘘みたいに、先輩を好きな気持ちがするっと抜け落ちてしまう気がした。


 先輩の好きな人が彼女ならすごく分かってしまうし、敵わなくても仕方ないと思ってしまっていたからだった。


 でも、そういう憧ればかりじゃなくて、少しでも私もそんな風になれるように、

少しはしっかりするようにしないといけないと思う。


「何、ボーっとしているんだよ」



 冷めた声で我に返る。


 すると、そこには今日、私が出かけるときには家にいた弟の姿があった。