隣の先輩

「弟さんが嫌いなものって何なんですか?」


「きゅうりやピーマンとニンジン。野菜が嫌いなのかな」


 そう言うと、先輩は肩をすくめていた。


「ニンジンって結構食べますからね」

「そう。本人は大丈夫って言うけど、いまいち信用できなくて」


 あまり厳しい顔をしない先輩がそんなことで、眉をひそめていることが、なんだか微笑ましかった。


 宮脇先輩の家ってどんな感じなんだろう。ちょっと興味がある。


 でも、先輩の表情を見ていると、仲のいい家族なんだろうなって思う。


 そのとき、目の前の信号が赤になり、足を止める。


 手のだるさを感じ、私が持っていた荷物を持ち替えようとしたときだった。


「荷物、一つ持つよ」

 先輩が指差したのは私の持っているビニール袋と、紙袋。


 紙袋には弟に買った誕生日プレゼントが入っている。今日、誕生日だったからだ。


「大丈夫ですよ」

「でも、荷物が多いから持ちにくそうかなって」

「大丈夫ですよ。そんなに荷物は重くないから」