隣の先輩

「こんなこと言って悪い」


 私は首を横に振る。


「悪いとは思うんだけど、今はそこまで考えられなくてさ。人を思いやる余裕なんかないし」


 先輩はそう言うと、どこか寂しそうに笑っていた。


「そうですね。だめだったらまた一年受験生活になってしまいますからね」


 きっと、この時期に告白しても、先輩にとっては迷惑でしかないんだろう。


 やっぱり告白なんて無理だって思った。

「賢も来るって言っていたのに、遅いな。あいつ」


 そのことを知っていたからメールを送ってくれたんだろうか。


 心の中で依田先輩と先輩に謝った。


 私は少しだけ勇気を出して聞いてみる。


「好きな人から告白されてもやっぱり困るんですか?」


「それは別問題」


 私はそんな先輩の言葉にほんの少しだけ笑う。


 やっぱりそうだよね。


 好きな人から言われたら、そんな理屈はあまり関係ない気がする。


「先輩の好きな人ってこの辺りに住んでいるんですか?」


「さあな」