優しい言葉ではあるけど、何気にきつい。
「受験のときや合格者説明会のときは前住んでいた場所からだったから、駅を降りたらそれっぽい人がいて、ついていったら学校に着いたから大丈夫かなって思ったんです」
状況を説明すると、恥ずかしくなってきた。
一度行けた学校に行けなくなるなんて考えもしなかったからだ。
それにその辺りに行けば、同じ制服を着た人を見つけられると思っていたこともある。
「駅からだったら人が多いからね」
私たちはエレベーターに乗り込む。
彼はボタンを押すと、顔をあげていた。
その視線がランプに向く。
いつもそうやって穏やかに話す人なんだろうな。
この前まで中学に通っていた私とは違って、大人って感じがする。