隣の先輩


 それが私だなんて都合いいことはあるわけないって分かっている。


 知りたいけど、知りたくない。そんな気持ちだった。


 そのとき、依田先輩が戻ってくる。彼の手には携帯が握られている。


「親から電話。部屋に行く? 案内するよ」


 私は彼の言葉にうなずく。


「おやすみなさい」


 そんな寝顔をいつまでも見ているわけにはいかず、先輩にそう告げた。


 私は電気を消すと、リビングを出ることにした。


 愛理の言っていた客間は八畳くらいの荷物があまりない部屋だった。


 確かにここなら三人くらいゆっくり眠れる気がする。


 咲もいつもどおりだった。


 すごく楽しみだったはずなのに、やっぱりあのとき聞いた話が心の中にぽっかりと空いてしまったみたいで、どこか楽しめなかった。


 話をしていても、どこか抜けていくような感じだった。