隣の先輩

 でも、口にして、しまったと思っていた。


 言うべきことじゃなかったと分かったからだ。

「そんなに行きたいなら連れて行ってやるよ」


 思いがけない言葉が響く。私は先輩をじっと見つめていた。


 いつものように、穏やかで優しい笑顔だった。


「変なこと言った?」


 私がじっと見ていたからか、先輩は変な顔をしていた。


「そんなことないけど、驚いて」


「そうかな。じいちゃんもばあちゃんも人が来てくれると喜ぶからさ。だから、別に構わないよ。でも、親の許可とかはもらわないならダメだけど」


「そうですね」


 友達にアリバイを頼んでの旅行とかは嫌だと言っているんだろう。


 私のお母さんと和葉さんは親しいみたいだから、どうせ筒抜けになってそうな気はするし、そんなことをするのは大変だから。


 その言葉を聞いて、少しだけホッとしていた。

 そんな自分が嫌な子だと分かっていても、やっぱりそう思っていた。