隣の先輩

「いいですよ。お兄ちゃんが行くって言ってますから」


 愛理はそう言っていた。


 先輩に買いに行かせるのは、悪いとでも思っていたのかもしれない。


「いいよ。ごはんのお礼とお詫び」

「私も行っていいですか?」


 反射的に立ち上がったのは咲だった。


「いいよ。何か買いたいものでもある?」


 先輩はそう言うと、笑顔を浮かべる。


「歯ブラシを忘れてしまって」

「言ってくれれば買ってくるけど」

「いえ。いいんです」


 先輩は咲を見ると、笑顔を浮かべていた。


 そんなことに胸が痛む自分が嫌だった。


「他に何かある?」

「何もないですよ」


 先輩の問いかけに返事をしたのは愛理だった。


 ドアの閉まる音が聞こえて、ほっとしたような嫌な気分になってしまっていた。

「あ、お金」