隣の先輩

「真由も誘えばよかったね。急にお姉ちゃんに誘われて行ったから」


 お姉ちゃんとかいると、そういうときいいなって思える。


 さすがに裕樹をそんなところに誘おうとは思わないからだ。


「うんん。気にしないで。私はDVDが出るのを待つよ」


 一人で映画館に行ければいいんだけど、私は性格的に無理そうだった。


「何の話?」


 映画のタイトルを告げると、愛理はああと面倒そうな表情を浮かべていた。


「恋愛映画なんて恥ずかしくて見てられないからなあ。私は」


 愛理はそう言うと、肩をすくめる。


「本当、将来行き遅れそうだから、兄としては心配になるよ」


 そう言ったのはいつの間にか愛理の隣にいた依田先輩。


「よけいなお世話です」


 愛理はそう言うと、兄の足を踏んでいた。


「だいたいお兄ちゃんだって今まで一度も彼女ができたことないくせに」


「別にいいだろう。そんなことお前に言われる筋合いないから」


 先輩の顔が心なしか赤くなっているような気がした。彼女がいないと言われたのが恥ずかしかったんだろうか。別にそれくらい恥ずかしいことでもないような気がするんだけど。