隣の先輩

 その声を聞いて、ドキッとした。


 今日、出かけるときには家にいなかった気がする。今日、帰ってきたんだ。



「ちょっと待ってください」


 愛理の依田先輩を呼ぶ声が響く。


 すぐに階段をおりてくる音が聞こえてきた。


 彼は直接玄関に向かったようだった。


 扉が開く音と同時に依田先輩の声が聞こえてきた。


「意外と早かったな」


「急に呼び出して、どうかした?」

「なんとなくそういう気分だったから。とりあえずあがっていけば?」

「いいけど。……もしかして誰かいる?」


「真由ちゃんと前原さんが来ているけど」



 名前が出てきて、どきっとした。


 先輩は今、どんな顔をしているんだろう。


「じゃ、少しだけあがろうかな」


 その声とともに廊下から足音が聞こえてきた。


 私は黙々とジュースに口をつける。