そのタクシーはあっという間に私の目の前から走り去っていた。


 どうして、宮脇先輩が先輩と一緒にいるんだろう。


 私は先輩から送られたメールを見た。


 返信をして、今目撃したと言ったら、その理由を教えてくれるかもしれない。


 でも、私が聞きたくない返事が返ってきたら、どうしたらいいんだろう。

 だから、そんなこと聞けるわけがない。


 私は何もすることができずに、その場に立ち尽くしていた。