西原先輩の姿が目に飛び込んできた。


「せんぱ……」


 彼を呼び止めようとした声を引っ込めた。


 そこに立っていたのは先輩と、和葉さん。そして、もう一人。


 思わず憧れてしまうほどの、欠点なんてあるのかと思ってしまうような素敵な人。


 宮脇先輩だった。


 彼女の手には旅行バックがしっかりと握られている。


 先輩のお父さんの実家に行くのに、どうして宮脇先輩がいるの?


 それも偶然出会ったというわけでもないようだった。



 旅行バッグまで持っていた。


 先輩は元カノということを抜きにしても、小学生のときから、宮脇先輩を知っていて、それなりに親しいんだろう。



 そのとき、タクシーが彼らの前に止まる。


 三人はそのタクシーに乗り込んでいた。