隣の先輩

 文句が出てくるということは、少なくとも私と花火を見たいと思ってくれたということだから。


 でも、そこに届いていたのは、「ゆっくり休んでおけよ」という先輩らしいメールだった。


 先輩ならそう送ってくれることくらい分かっていた。


 でも、宮脇先輩と一緒だったから、そんなメールを送ってくれたのかもしれないと思うと苦しかった。


 家に帰ると、母親の問いかけを無視して、「体調が悪い」とだけ告げる。


 そして、自分の部屋に入ると、ベッドに腰掛ける。



 そのとき、あかりのついていない部屋に光が届く。


 その光に促されるようにして、顔をあげると、空に花火が打ちあがっていた。

 私は立ちあがると、ベランダに通じる窓を開けた。


 窓を開けると、少し冷たさを帯びた夜の風が部屋の中に飛び込んでくる。


 その風を再び感じる間もなく、空で弾けるような音が響いていた。


 顔をあげると、空では様々な光を帯びた花火が散っていく。


 その空を支配するほどの大きな火の花はあっという間に闇に飲み込まれる。


 でも、そんな余韻を感じる前に、再び空に白い塊が打ちあがり、花となって闇に広がっていく。