隣の先輩

「お金のことはきちんとしておかないと」


 彼女はさっき私におごろうとしたはずなのに、そんなことを言っていた。


 彼女が財布を取り出そうとバッグの中を触っているとき、あの筆箱に入っていたビニール袋が目に入る。


 それに気づき、思わず声を出していた。


「どうかした?」

「すみません。のぞくつもりはなかったんですけど、そのピアスって」

「あ、これ?」

 彼女の指先がそれをつかむと、私に見せた。


 彼女が好きな人からもらったと言っていたものだった。

 その好きな人が誰なのか、なんとなく分かっていた。


 それはあのときの話を盗み聞きしていたからだろう。


 今日、先輩と一緒に花火を見に行く予定だったこととか、いろんな気持ちが胸の奥でざわめいていた。


 そして、宮脇先輩に問いかけていた。


「宮脇先輩のそのピアスは西原先輩にもらったんですよね?」




 彼女は驚いたように目を見開いていた。


 そして、ゆっくりと目を細めるとうなずいていた。