隣の先輩

 夏休みといえど、午前中は比較的過ごしやすい。


 空は青いけれど、まだこの時間は薄い青い空。


 辺りを照らす太陽の光も、肌を焼くようなものではなく、

ほっとする程度の熱を帯びている程度だ。


 まだ気温の低い時間帯に移動しようと思い、早めに待ち合わせをした。


 それがよかったのか悪かったのか分からない。


「どうかした?」


 先輩はすっかりいつもの調子だ。


「何でもないです」


 けど偶然とはいえ、先輩から触られてしまった。そのことを意識すると、顔が赤くなってしまいそうな気がした。 あの無防備な寝顔が頭の中をさっきからちらちらとする。


 そのとき、私の頬がつねられた。ちょうどさっきと同じ場所だった。


 先輩はからかうように私を見ていた。


「だから顔が赤いんだけど」


 まさか先輩の寝顔を見て、ドキッとしていたなんて言えない。


 変人みたいに思われるかもしれないし。こういうことを考えているだけで少しおかしい気がしてきた。