隣の先輩

 私は今は先輩に電話をしていない。


 ということは、私以外の誰かが先輩に電話をしているということだ。


 知らない振りをしようかなと思ったけど、

メールじゃなくて電話をかけるときは急用のときが比較的多い。


 だから、急用かもしれないと思ったのだ。

「先輩、電話が鳴っていますよ」


 そう声をかけたけど、先輩はやっぱり無反応だった。


「ごめんなさい」


 私は一言断ると、寝ている先輩の部屋に入り、ベッドサイドまでいく。


 そのとき、先輩の寝顔が目に飛び込んできた。


先輩の寝顔を見るのは二度目だった。


でも、あのときとは違い、すごく無防備な顔をしていた。これが本当の先輩の寝顔なんだって思った。



 すごくドキドキしていた。


 そのとき先輩が寝返りを打ち、顔を少しそらす。