隣の先輩

「この辺りは君が住んでいたところに比べると分かりにくいからね」

「どうして前住んでいたところを知っているんですか?」

「君のお母さんが引越しの挨拶に来たときに聞いた」


 その言葉に納得する。


 彼は少し考えた素振りをし、口を開く。


「もし、迷惑じゃなかったら明日も一緒に行こうか。何か今日の様子を見ていると、不安なんだよね」


 一緒に行く?


 その言葉に反応して、思わず西原さんを見ていた。


「もしよかったらだけど」

「はい。行きます」

「じゃ、明日ね」


 待ち合わせ時刻を決めると、エレベータが到着した。そして、それぞれの家に戻ることになった。


 家に帰ると、すでに帰宅していた母親が、夜ごはんの準備をしていた。