「どこでもいいよ。というかお前ってこの辺りのことよく知らなそうだな」


「そうですね。いまいち分からないですね」


「遊園地、映画館、博物館とかもあるけど、女の子が好きそうなところってぴんと来ないんだよね」


 女の子って、一応そう思ってくれていたんだ。そんなことでも嬉しい。


「手軽なところだと、映画館、博物館か」



 映画と聞いて、ドキッとしてしまった。


 それは宮脇先輩のことを思い出してしまったから。


 だから、映画だけは一緒に行けない気がした。


「映画はちょっといいかなって」


「嫌い?」


「今は見たいのがないから」


「そうなんだ。クラスの女子が外国で人気のある恋愛物の映画が上映されるって大騒ぎしていたけど、

そういうのを見たいのかと思っていた」


 その映画は知っている。CMを見て、見たいと思った。


 けど、それはもしかすると宮脇先輩の見たいと思っていた映画かもしれない。