隣の先輩

先輩は「ごめん」と軽い口調で言う。


「お前に用があったのを思い出して、起きるのを待っていたんだよ。

それを言ったら留守番でもして待っていてくれって言われたから」


「起こしてくれればよかったのに」

「でも、心地良さそうに寝ていたから、起こすのも悪いかなって。

で、用事ってのは、出かけたいなら明日、出かけないってこと」

「あ、明日?」


 思わずどもっていた。というか何も考えてなかった。


 どうしよう。


 別に先輩と一緒ならどこでもいいんだけど、変な場所を言ったらつまらない人間とか思われたりするのかな。


でも、前に行ったテーマパークに行くと言うと、それはそれでワンパターンな人間みたいだし。



「都合悪いなら、他の日でもいいよ。明後日から父親の実家にちょっと顔を出さないといけないからさ。

八月の後半になると思うけど」


 帰省するんだ。それなら明日がいいのかもしれない。


「考えておきますね。先輩はどんなところがいいですか?」