隣の先輩

 裕樹が羨ましいな。何も考えずに先輩と話をできて。


 私だって話をしたい。


 先輩のことをいろいろ知りたい。


 もっと私にいろいろ話をしてほしい。


 そう思っているのに、口に出せなかった。


 咲や愛理には聞けるのに、

先輩に対してだけは時々、初対面の人に何かを聞くように聞けなくなる。


 なんかこういうのって嫌だなって思ってしまっていた。
 しばらくした後、扉の閉まる音が聞こえた。


 リビングに行くと、誰もいない。


 気になって玄関まで行くと、先輩の靴も裕樹の靴もない。


 さっきお母さんが出かけたから、二人のうちどちらかが出かけたのかは分かったが二人してとは思わなかった。


 どこかに出かけたんだろう。


 一言、声をかけてくれればよかったのに。



 部屋でゴロゴロしていたから、もしかするといないと勘違いされたんだろうか。


 朝というか、もう昼だけど、疲れてしまった。



 私はため息を吐くと、母親の買ってきてくれたケーキを食べることにした。