隣の先輩

 思わず仰け反ってしまいそうになったけど、手元に持っているお盆を見て、そんな気持ちを押しとどめる。


「これ、よかったらどうぞ」

「悪いな」

「いえ。気にしないでください」


 私はお盆を手渡す。先輩はもう一度、お礼を言うと、部屋の中に戻っていった。


 裕樹と先輩はどんな話をしているんだろう。


 何をしているんだろう。


 気になるけど、閉まったドアからは部屋の中を覗くこともできない。


「真由の分は冷蔵庫に入れておくから」

「ありがとう」

 私は部屋に戻ることにした。


 そのとき母親が思い出したように、「今から出かける」と言っていた。


 分かったと返事をすると、部屋に戻る。そして、さっきまで眠っていたベッドに身を委ねる。