「また、一緒に遊びに行きたいなって思っただけですよ」


「遊び?」


 先輩が眉をひそめる。


 やっぱり言わなきゃよかったかもしれない。


 でも、先輩が手を離してくれないから、仕方なく。


 先輩の手が離れた。


「いいよ。どこがいい?」

「え?」

「遊びに行ってやるよ。夏休みに一日だけなら」

「いいんですか? だって受験あるのに」

「たまには気晴らしも必要だろうから」


 そんなにあっさりいいと言ってくれるとは思わなかった。


「考えていいですか?」


「いいよ」


 そう言うと、先輩は歩き出す。


 どうしてなんだろう。宮脇先輩のときは困った顔をしたのに。