隣の先輩

 彼はまた笑っていた。



 私たちは学校を出ると歩き出す。


 朝は母親と一緒だったからそこまで緊張はしなかった。


 でも、今は驚くくらいドキドキしていた。


 隣を歩いている彼に心臓の音を聞かれるのはないかと思うほどだ。


「学校はどう?」


 突然話しかけられ、体がびくっと反応した。


「え、あのまだ初日なのでよく分かりません」


 口にして、もっと気の利いたことを言えばよかったと後悔していた。


「そうだよね。で、ここの道を曲がれば、交差点があるだろう?」