隣の先輩

 驚いたけど、言われたら納得する感じ。

「そ。俺はあいつに昔から何一つ勝てないから。

争っているわけでもないから別にいいんだけどさ。でも、料理だけは勝てそうな気がするか」


 そう先輩は笑っていた。


 依田先輩って何でもできるんだ。運動も得意だし。


 私とは大違いだ。


 単純にすごいなあと考えていたときだった。


「でも、さっきの勉強ってかなり下位の候補だったんだろう? 最初は何を考えていたんだ?」

「そんなことないですよ」


 そのとき、私たちの隣を歩いていた同じ高校の人が変な顔をしているのに気づいた。



 それは私と先輩だからということではなくて、先輩の手が私の両方の頬を抓ったままになっているからだろう。


 私が見たって変に思うから。


 先輩はそんな心を見透かしたように言う。


「言うまで離さないけど」


 そこまで言われたらさすがに観念することにした。