隣の先輩

「笑えって」


 そう言ったとき、両方の頬を抓られた。


 先輩の顔を見る。


 先輩はにかっという言葉がしっくりくるような明るい笑顔を浮かべている。


「もしかして、それが命令?」

「そんなとこ」

「それだけ?」


 色気のあることを想像していたわけじゃないけど、もっとこうパシリ的なことを想像していた。

 飲み物を買ってこいとか、そうしたこと。


「それだけ」


 そのためだけに私とあんな約束をしたってこと?


 それって、私が変なことを考えていたりしたら、全然つりあいがとれないんじゃないかと思った。


「じゃ、もう一つ。俺が負けたら、何を期待していたんだ?」


 昨日、考えていたことを思い出して、赤面しているのが分かった。



「勉強を教えてもらおうと思っていたんですよ。先輩って成績いいみたいだし」


 候補的には下位だけど。


「勉強なら俺より賢に教えてもらったほうがいいよ。あいつのほうが俺より成績いいし」

「そうなんですか?」