隣の先輩

 角を曲がり、先輩達から見えない場所まで来たとき、足を止めた。


 そのとき落ち着いた声が響く。


「どうかした?」


 顔をあげると、目の前にいつもクラスで見る姿があった。


「今、帰りなの?」


 あまりに驚いて、さっきまでの暗い気持ちがどこかにいってしまったような気分だった。


 そこに立っていたのは森谷君だった。


「うん。足音が聞こえて振り返ったら、安岡がいたから」

「そっか」


 私が歩き出したとき、優しい声が響く。


「何かあった?」


 私は彼を見ないで、足を止める。


「もしかして、顔に出ていた?」